PanoCalc (パノカルク)

パノカルク(PanoCalc)は魚眼でない直線的なレンズと共に動き、 焦点距離は8mmから50mmに対応する。

PanoCalc中ではあなたがカメラをたてに回転してポートレートで使うものと仮定している。 これはたいていの場合パノラマを撮るのに最上の方法であり、この小さな計算機は間違いなくポートレートで撮っていると思い込んでいる。

注意。この計算機は魚眼レンズでは使えない。 魚眼レンズの作る丸いイメージは、センサーに使用されない部分を残す。このため、魚眼レンズにはそれ専用の計算方法が必要となる。 よくある8mm魚眼についてはここで詳細が見られる。


視野 (Field of View)


レンズの詳細について、最初に入力する項目は視野である。 'crop'は'crop factor(切り抜き率)'または'lens multiplier(レンズ倍率)'の省略表示である。 これは、標準的なレンズを、ちいさなデジタルセンサーで使うときに影響を計算するために カメラーメーカが与える数字である。

  • デジタル一眼レフの場合。フルフレームのカメラなら、crop factorは1.0である。 そうでなければニコンなら1.5またキヤノンなら1.6などである。
  • コンパクトデジタルカメラの場合。メーカーが「35mm互換」と言う数字をレンズの視野値として入力し、cropは1.0にする。

パノカルクのユーザインタフェース


パノカルクの領域はそのアウトプットの種類に対応して3つの領域に分けられている。

領域1 - 写真 (Pictures)
この領域では水平に丸く1列に何枚の写真を撮ればいいのかを計算する。 • + - をタップすれば、写真の枚数を増減できる。

領域2 - 列 (Rows)
この領域では複数の列でパノラマを作る計算をする。 手持ちのレンズにより、列数(最大4列)と重なり率を設定できる。
• 真ん中をタップすると列数を変えられる。
• + - をタップすると、重なり率を増減できる。

領域3 - 極点、天頂と奈落 (Poles, Zeniths and Nadirs)
この領域は、360x180のパノラマを撮る時のみ使う。扱いの厄介な極点について計算する。
• 真ん中をタップするごとに以下の順に切り替わる。 (a) 1枚または2枚の写真で極点を覆う (b) 4枚で極を覆う それに(c)「縦方向の輪(vertical circle)」覆いなし列のみ
• + - をタップすると、覆いと列の重なり率を増減できる。
• + - をタップすると、「縦方向の輪」の写真の数を増減できる。

Rボタン
• レンズの設定をリセットする。縦方向の重なり率は25%となる。

SETボタン
• 領域2の縦方向傾き角度の値をPanoGuideにコピーする。


事例


35mm換算で28mmレンズのついたコンパクトカメラでの例を見てみよう。

この図が28mmでの初期設定である。

メーカーではこれが本物のワイドレンズではない、と主張していることに注意。 28mmは複数列のパノラマを取るのに適切だが大量の写真が必要。球状パノラマを撮るのにとても意欲をそそられるレンズだ。

しかしながら、その制限がPanoCalcの動作を説明するにはかなり便利なこともまた事実だ!


領域1 - 水平の列


1列に何枚の写真が要るだろうか? 初期値では10枚必要だ マイナスをタップ ... さらにマイナスをタップ ... 回転角度はいいが重なりが小さすぎ... このほうがいいだろう - 十分な重なりを持ち、回転しやすい回転角なら失敗も少ない。

まず最初に解決すべき問題は、水平に何枚の写真を撮るのがベストか、ということだ。

結果として得られる画像の高さは論理的には円周と視野の長いほうの角度(65.47°)から計算された360°x65°になるはず。

初期状態ではPanoCalcは以下のような結果を返す:
Horizontal row, 36° turns
10 picts, h-overlap 22%, 360°x65°

(訳:水平の列,36°づつ回転して10枚撮影, 重なりは22%で, 360°x65°のパノラマが撮れる)

重なりは充分そうだし、この初期値の設定は良さそうに思える。 しかし、誰が36°づつ正確に回ることができるだろうか? 技としては、36°づつ線の印刷された紙を地面に置いて撮る、ということが考えられる。

それと別の案として、回転角度を、自分の足で正確に回転できそうな角度にする、という方法を考えた。

+ - をタップして、すべての角度を見てみよう。

(a)少ない撮影数 (b)最高の重なり (c)回転できそうな角度 のもっとも適切な組み合わせを見出すことがすべてだ。


領域2 - 複数の列 (Multiple Rows)


PanoCalcの第2領域では、複数の列からなるパノラマの計算が出来る。

初期値は2列だが - タップして列を増やす 3列 - 360°x180°のパノラマには不足 4列 - 360°x180°以上

PanoCalcの初期状態は、2列で、縦方向の重なり25%である。

今の場合、初期状態だと以下のようになる:
2 rows, +25° & -25°
24 pics, v-overlap 25%, 360x115°

(訳:2列、+25°と-25°、24枚、縦方向重なり率 25%、全部で360x115°のパノラマ)

パノラマの高さは115°になる。カメラの縦方向の傾きは+25°と-25°になる。

真ん中をタップすると、3列、再びタップすると4列での計算となる。さらにタップすれば2列に戻り、それを繰り返す。

+をタップすると、列同士の重なりが増加する。同時に3つのことが起きる。

•重なりの増加
•縦方向の傾ける角度の増加
•パノラマの高さの減少

-を押せばちょうど反対のことが起きる。

というわけで、このレンズで球状パノラマを撮ろうと思うなら、どうすればいいか? 3列でつないで見るべきか? 真上と真下を撮って、それで球面を覆えるだろうか? それとも4列を試してみるか? その場合、重なり率を変えるべきだろうか?

それらの問題は、領域3で答えが出るだろう。

注意せよ。PanoCalcは最大4列まで計算可能だが、意味があるのは適切な場合のみだ。 例えば10mmレンズの場合は2列以上を見れると期待してはいけない。


領域3のA - 極点(天頂と奈落) - 覆い


「列」という考え方と、何列かの写真でパノラマを作るという方法は水平線の周辺では極めて理にかなっている。 ところがその考え方は極点に近づくと崩壊してしまう。 というわけで 領域3である。

領域3の真ん中をタップすると、3種類の情報を順に表示する。最初の2つは「覆い」に関する物で、ここで説明する。

3つ目は、「縦方向の輪」であり、この後で取り組む。

領域2の3列での初期設定では、高さ164°のパノラマが撮れ、上下に穴がある、という状態であった。 それぞれ両極の穴の大きさは(180-164)/2=8°である。 このまま列を増やすことも考えられるが、かわりに「覆い」を使うことにする。

もちろん、3つの列と覆いは、それらをつなぎ合わせるために、覆いの置かれている列との重なりが必要となる。

今、覆いの1つが、3つの列が作る360°x164°とつなぎ合わせるのに十分に大きく、なおかつ球面を覆いつくすのに十分に大きいことが必要であると思われる。

3列の初期状態、それに1枚または2枚の写真で作る覆い 4枚の画像で作る覆いの初期状態。1、2枚のときと比べると、少々大きすぎのようだ。 両極の覆いと列を調整することで、覆いがフィットするように調整し(赤線の部分)、重なり率を最適化したところ(青線の部分) 領域3の最初の選択肢での初期値は以下の通り:
Cap, 90° or 2 pics 74°+, overlap 25%
adds 10° of tilt, fits rows 360°x160°

Cap, 90° or 2 pics 74°+ という表示は、論理的にはこの覆いが真下(または真上)の1枚撮影するだけで出来る... しかし、真下や真上が何らかの理由で撮れない - たとえば位置決め糸が邪魔とか自分の足が邪魔などの場合は代わりに 互いに180°向き合った2枚の写真で代用できる、ということを意味している。 その2枚は74°以上の角度ならOKで、その意味で'+'がついているのである。

初期状態の'Cap 90° or 2 picts'では、列で出来る360°x156°のパノラマに25%の重なり率でフィットする。 これは3列で出来る360°x164°に対して充分で、これはいけてる結果のように思われる。

だがしかし、覆いは大きすぎないだろうか。そして同時に、列同士をもっと詰めて、重なりを大きくできないだろうか。

列と覆いの重なり部分を増加させて、重なり部分が最適化すれば、覆いはフィットしつづける。 左図で見るとおり、覆いは完璧に180°x160°に適合している。そして重なり率は25%から28%へ改善された。

さて、ついに1つの解法が得られた。3列を仰角47° 0° 俯角47°で撮り、天頂と底ではそれぞれ1枚か2枚撮る。全部で38枚から40枚である。

これは単なる幸運なのか? この覆い(さらには4枚で作る覆い)は本当に本当に穴をふさぐのに大きすぎないのだろうか? 次の項へ続く...


領域3のB - 極点(天頂と奈落) - 垂直の輪


初期設定は4列 水平4列、8枚、重なりは最適化されている 4列の初期状態と縦方向の輪のデータ 4列だが、重なりを修正済み

領域2の説明中、28mmレンズで4列だと天頂と奈落に穴が出来ない例を示した。 360°x213°というのは、ちょっと極部分に対して太っ腹すぎるかもしれない。 しかしいかに太っ腹であろうがなかろうが、これは実際、無駄っぽくはないだろうか?

領域3の3番目の選択肢の初期値は以下の通り:
Vertical circle through both poles
8 pics, 45° apart, v-overlap 31%

+と-をタップすると、写真の枚数を増減できる - 領域1と同様。

しかしたまたま初期状態の8枚が希望の結果である。なぜなら4列とは、8枚の輪と同じだからである(図参照)。 すべての重なりが同じ値である。

なので、なすべき事はこの理想的な31%という重なり率を領域2にコピーすることのみ。

縦方向傾きは拡大して45°となる。そして両極は完全にカバーされている。

ここで、球面パノラマを撮る為の第2の解が得られた。

まとめると:We could have either:-
• 36枚3列撮り、底と天頂を2枚ないし3枚または4枚で覆う。
• 48枚4列撮る。

どちらにするか決めるのは難しいくないだろう。

しかしこれは例にすぎない。別のレンズを使った場合、「縦方向の輪」は理想的な解決策になるかもしれない


追記 - 高い角度では、少ない枚数でいいんじゃないの?


PanoCalcの説明はこれにて終了。ここまで読んでくれて有難う。

おそらくきっとイライラしてることと思う。こんなに沢山の枚数撮りたく無い、って。

赤道から両極まで列が動いていくと、その輪はだんだん小さくなっていくことを誰でも知っている。 赤道部で12枚だったら、もっと高い列では少ない撮影数で済むんじゃないの?

そこで68°の列を仔細に見てみよう。68°は真ん中の列である。 それぞれの画像は65°の縦方向視野角である。なので画像の上端は極を覆って100.5°である。 ところが下端は地面から35.5°でしかない。

68°では画像の中心が作る輪の大きさは、赤道部のそれの37%である。 極点では無限小にまで縮まる。

しかし、画像の下端では、赤道部の81.4%にしか縮まらない。(3列版だと、下端は14.5°に位置し、その輪のサイズは赤道部の96.8%である)

天辺で100%重なっている12枚を見る限りでは、楔形効果は圧倒的に思われるかもしれない。 しかし気遣わなければならないのは歯車の歯のように広がって傾いている画像の下端においても充分な重なりを持たせることなのだ。

結論: 両目両足をしっかりと水平線に据え、両手でワイドレンズを持て! (訳注: もじりなんですが、旨く訳せません)


PanoCalc(パノカルク)

EF-S 10-22mmレンズをマウントしたキヤノンEOS Kissデジタルの底部にiPod Touchをマジックテープでとめたところ

シリコンケースに入れたiPodをカメラに向けて設置した例

PanoCalcの事例で使った28mm相当レンズの付いたFuji Finepix F200 EXR。下の2枚のパノラマもこれで撮ったもの。